【書類名】明細書
【発明の名称】ハンドスキャナ
【技術分野】
 【0001】
 本発明は、走査位置の観測確認が容易なハンドスキャナに関するものである。
【背景技術】
 【0002】
 イメージ入力装置の中で、ハンドスキャナは、入力情報の記載された媒体の形状や媒体上の入力情報の位置を問わず、必要な情報のみを入力できる利点があるので、POS用のOCRの入力部として実用に共されている。
 実用のハンドスキャナOCRは、OCR−BフォントサイズIなど、比較的小寸法の文字のみを入力して確認するものである。文字の上下方向の観測視野は、手のゆらぎを考慮して文字の高さの2倍以上に余裕をもたせてあったが、入力情報の周囲に十分な背景白部のある孤立文字列を扱うため、左右方向は被写体と接続する部分の幅を極力狭くして走査位置が見えやすくするのみで実用上十分であった。
 【0003】
 しかし、文書の部分イメージ入力などに供するときには、比較的広い視野と高い走査解像度を実現し且つ手送り移動の振れを生じにくくするため、書面との接触面積を十分に確保する必要がある。図1は、文書の部分入力に適用するハンドスキャナの外観例と書面との位置関係を示したものであり、1はハンドスキャナハウジング、2は入力書面を表す。また、入力位置P点を含む1点鎖線が書面に対する外観視野を表し、矢印は手送りによるハンドスキャナの移動方向を示している。このようにハンドスキャナハウジングの高さと被覆する面積が大きくなるので、入力位置P点の近傍を視野確認できないという欠点があった。
 【0004】
 一般文書の任意の一部を入力する用途において、この欠点は入力操作性に関して大きな障害である。具体的には、不必要な情報をも入力したり、入力情報の前後がかけたり、あるいは、手送りの曲りによって必要な情報の上下が欠落したりするなどの問題があった。
 【0005】
 この改善策として、密着センサを使用しハウジングの高さ方向の寸法を圧縮する方法がある。図2はこの方法による光学系の実装形態を示すための説明図であって、主走査方向に対して直角な平面による断面図である。図2で、3は1次元イメージセンサ、4はロッドレンズ、5は照明ランプである。しかしながらこの方法でも、センサ、ロッドレンズ、ランプの実装のため無視できない寸法の幅(図2のW)を確保する必要がある。片側から照明してP点を左右方向に移動し、ハウジング側端部(図2のQ点)との距離を短縮しても、センサ基盤の厚みなどに最低5mm程度は必要となる。光学ミラーなどで光路を折曲げる方法もあるが、ハウジングがさらに大きくなり焦点の調整も煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
 【0006】
  【特許文献1】特開2003−000000号公報
【非特許文献】
 【0007】
  【非特許文献1】特許一郎著 「ハンドスキャナのいろいろ」特許出版 2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
 【0008】
 解決しようとする問題点は、高精細な図を手送りで走査入力する操作において障害となる入力位置を目視確認できない点である。
【課題を解決するための手段】
 【0009】
 本発明は、書面の走査位置またはその直前(直後)を常に目視可能とするため、書面に垂直な方向に対して傾斜した光路で受光することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
 【0010】
 本発明のハンドスキャナは、ハウジング上部から斜めの光軸を通して1次元イメージセンサで走査するため、センサの視野すなわち入力位置を、直接あるいは近傍で常に観測確認できるので、入力対象の綴じ込み条件や操作方法に応じて左右の側端部を使い分けられるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
 【0011】
  【図1】図1はハンドスキャナの実施方法を示した説明図である。(実施例1)
  【図2】図2はハンドスキャナの実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
 【0012】
 ハウジング外または可能な限りハウジング側端部に近い位置からイメージを入力するという目的を、最小の部品点数で、光学系構成部品の厚みを損なわずに実現した。
【実施例1】
 【0013】
 図1は、本発明装置の1実施例の断面図であって、1〜5は、図2と同様である。また、6はセンサドライバー、7は信号入出力端子、8は手送り速度検出機構である。
 【0014】
 センサ3は入力位置P点を常に走査しており、ドライバー6の制御によって走査したビデオ信号を端子7から出力する。本発明の主体は光学系の実装方法にあるので、電子、機構系の説明は省略する。
 【0015】
 一般にセンサ受光面の光軸方向の受光光量IC12は、下記の数式1によって求まるということが数学的にすでにわかっている。下記の表に数式の各物理量の実用的な値の例を示す。
 【0016】
  【数1】

 【0017】
  【表1】

 【0018】
 上記の数式において、表に示したように、Iはランプの放射光量、Xは観測面と受光面との距離、V/tは受光面の移動速度である。
 【0019】
 このような光学系の実装形態を採用したので、幾何光学上の特性を実効的に劣化することなく、ハウジング1の側端部(Q点)から書面のイメージを入力できる。従って、操作者にはハンドスキャナの入力位置またはその近傍が常時目視でき、書面入力先頭への位置決め、走査中の方向確認、末尾の確認が容易になる。さらに、ハウジング1の側面を傾斜させることができ、操作者からQ点が見易いので走査中の視点の移動を低減する効果がある。
【実施例2】
 【0020】
 図2の実施例は、ハウジングに取付けたスイッチによって、左右いずれからでも入力できるので、例えば文書の左端から入力する場合は左端の側端部に、右端まで入力する場合は右端の側端部に各々切替えて使用する。副走査の精度を確保するためには、ハウジングの接紙条件の良いことが要となるので、この切替え機能はハンドスキャナの操作性向上と入力対象の拡大におおいに役立つ。
【産業上の利用可能性】
 【0021】
 筺体に取付けたスイッチを用いて容易に左右の選択ができ、側端部に半透明フードを取付けることによって、輝度の大きい照明が必要かつ操作者による入力位置の直視が不可欠な用途にも適用できる。
【符号の説明】
 【0022】
 1  ハンドスキャナハウジング
 2  入力書面
 3  1次元イメージセンサ
 4  ワイドレンズ
 5  照明ランプ
【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
 レンズ系を介して書面からの反射散乱光を1次元イメージセンサに受光することで主走査を行い、書面を被覆したハウジングを手送り移動することで副走査を行う書面イメージの入力手段において、該ハウジング内の上部に装着され、その受光面が書面と平行になるように設定された1次元イメージセンサと、書面に垂直でセンサ列方向軸を含む平面に対して傾斜し、かつ該センサ列方向軸と直行した光路面を構成するレンズ系とを備え、該ハウジングの被覆側端部で主走査することを特徴とするハンドスキャナ。
【書類名】要約書
【要約】
【課題】書面に垂直方向に対して傾斜した光路で受光することで、書面の走査位置またはその直前(直後)を常に目視可能とする。
【解決手段】レンズ系を介して書面2からの反射散乱光を1次元イメージセンサに受光することで主走査を行い、書面2を被覆したハウジング1を手送り移動することで副走査を行う図面イメージの入力手段において、該ハウジング1内の上部に装着され、その受光面が図面と平行になるように設定された1次元イメージセンサと、書面2に垂直でセンサ列方向軸を含む平面に対して傾斜し、かつ該センサ列方向軸と直交した光路面を構成するレンズ系とを備え、該ハウジング1の被覆側端部で主走査する。
【選択図】図1
【書類名】図面
【図1】

【図2】