商標法第5条第3項に規定する標準文字

 「標準文字制度」は、「登録を求める対象としての商標が文字のみにより構成される場合において、出願人が特別の態様について権利要求をしないときは、出願人の意思表示に基づき、商標登録を受けようとする商標を願書に記載するだけで、特許庁長官があらかじめ定めた一定の文字書体(標準文字)によるものをその商標の表示態様として公表し及び登録する制度」であり、平成8年改正商標法(平成9年4月1日施行)において採用されました。


(1)特許庁長官による標準文字の指定

 商標法第5条第3項に規定する特許庁長官の指定する標準文字については、これまで、平成9年2月24日の指定以降、平成15年7月1日及び平成16年12月24日に文字等の追加がなされましたが、平成28年9月23日に全て改められ、新しい標準文字が指定されました。新しい標準文字の指定は、「特許庁公報(公示号9)(平成28年9月23日発行)」に掲載されました。

特許庁のホームページ「商標法第5条第3項に規定する標準文字の指定について」をご覧ください。



(2)新たな標準文字の適用日

 新たに指定する標準文字は、平成29年1月1日以降の商標登録出願に適用します。
 平成29年1月1日前にした商標登録出願については、前に指定した標準文字が適用されます。また、平成29年1月1日前にした商標登録出願に係る商標権に係る防護標章登録出願についても、前に指定した標準文字が適用されます。



(3)「標準文字の適用範囲」の具体的運用

 願書作成にあたって、標準文字のみによって商標登録を受けようとするときは、「【商標登録を受けようとする商標】」の欄の次に「【標準文字】」の欄を設けてください。(商標法施行規則様式第2備考15)
 なお、【標準文字】である旨が記載された商標登録出願であって、願書に記載された商標の構成から、特許庁長官の指定する文字(標準文字)のみによって商標登録を受けようとするものとは認められない出願は、通常の出願として処理されることになります。


<標準文字として認められない例>

①図形のみの商標、図形と文字の結合商標

②特許庁長官の指定文字以外の文字を含む商標

③文字数の制限30文字を越える文字(スペースも文字数に加える)からなる商標

④縦書きの商標、2段以上の構成からなる商標

⑤ポイントの異なる文字を含む商標

⑥色彩を付した商標

⑦文字の一部が図形的に、又は異なる書体で記載されている商標

⑧花文字など特殊文字、草書体など特殊書体で記載された商標

⑨スペースの連続を含む商標



(4)商標権の設定の登録及び公報(公開・登録)への掲載

 標準文字による商標に係る商標権の設定の登録をするときは、商標登録原簿上に標準文字である旨の記録がされます。また、公開商標公報及び商標公報(登録公報)に標準文字である旨の掲載がされます。



(5)登録商標の範囲

 通常の登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定められますが(商標法第18条第3項、同法第27条第1項)、標準文字による登録商標の範囲は、願書に記載した商標そのものではなく、標準文字に置き換えて現したものに基づいて定められます。