【早期審査に関する事情説明】

  1. 記録内容

【早期審査に関する事情説明】

 1.実施状況説明

  (1)実施行為(実施準備行為)の特定

  (2)実施行為(実施準備行為)の開始時期

  (3)意匠の実施行為(実施準備行為)を示す資料又は物件

 2.緊急性を要する状況の説明

 3.先行意匠調査

 4.自己の意匠登録出願中の意匠の記載

  (1)出願番号


  1. 概要

≪1.実施状況説明≫

(1)実施行為(実施準備行為)の特定

 出願人自身又は出願人からその出願の意匠について実施許諾を受けた者(ライセンシー)の日本国内での実施行為(実施準備行為)が当該意匠に係る物品の製造、使用、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)のうち、いずれに該当するものであるかを特定して記録します。


(2)実施行為(実施準備行為)の開始時期

 実施行為(実施準備行為)がいつからなされているかを記録します。例えば、実施行為(実施準備行為)が製造の場合「平成○年○月○日より製造中」のように記録します。


(3)意匠の実施行為(実施準備行為)を示す資料又は物件

 例えば意匠の実施を示す製品カタログ、新聞、雑誌、図書等の資料(コピー可)又は製造品の物件(写真可)を提出します。

 実施の準備の状況の説明においては、実施の準備の具体的な内容、時期を明らかにし、その準備を進めていることを特定するに足る具体的な実施計画書、準備作業等の行為を示す資料又は物件を提出します。

 なお、上記の説明において、その状況を明らかにするために、必要な事項が企業秘密に属し、提出書類に記録することにより、商品取引上支障が生ずると考えられる場合は、ヒアリング等において明らかにする旨の表示をして、当該事項の記録を省略することができます。そのヒアリング内容等については公開しません。



≪2.緊急性を要する状況の説明≫

 権利化について緊急性を要する実施関連出願になることを理由として早期審査の適用を受けようとする場合は、「早期審査に関する事情説明書」の「緊急性を要する状況の説明」の欄に、次のいずれの場合に該当するかを明示し、これにより緊急な権利化が求められている状況を詳細に説明します。


①第三者が許諾なくその出願の意匠若しくはその出願の意匠に類似する意匠を実施しているか又は実施の準備を相当程度進めていることが明らかな場合、原則として(ⅰ)第三者、(ⅱ)第三者の実施行為(実施準備行為)、(ⅲ)第三者の実施行為(実施準備行為)の開始時期、(ⅳ)第三者の実施行為(実施準備行為)を示す客観性のある資料又は物件を明らかにします。

②その出願の意匠の実施行為(実施準備行為)について、第三者から警告を受けている場合、原則として(ⅰ)第三者、(ⅱ)第三者の警告行為、(ⅲ)第三者の警告の時期、(ⅳ)第三者の警告行為を示す客観性のある資料又は物件を明らかにします。

③その出願の意匠について、第三者から実施許諾を求められている場合、原則として(ⅰ)第三者、(ⅱ)第三者から求められている実施許諾の内容、(ⅲ)第三者から実施許諾を求められた時期、(ⅳ)第三者から実施許諾を求められていることを示す客観性のある資料又は物件を明らかにします。



≪3.先行意匠調査≫

 「早期審査に関する事情説明書」の提出にあたっては、早期審査の目的を達成するため、出願人に対して「先行意匠調査」の結果を記録することが望まれます。先行意匠資料として、日本国登録意匠公報と公知資料(意匠登録出願日前に刊行物に記載された資料等)を調査の対象とします。調査に当たっては、自己の意匠の新規性・創作性を評価する際に参考になると思われる資料を抽出します。


①調査すべき先行意匠

 ⅰ)日本国登録意匠公報について

 ⅱ)公知資料についても、先行意匠調査の対象とします。

    早期審査の申出を行う出願人は、公知資料についても可能な限り調査を行います。

    先行意匠調査取扱い機関として、(社)日本デザイン保護協会があり、物品によっては調査可能なものもあります。詳しくは、(社)日本デザイン保護協会にお問い合わせください。


②調査範囲

 ⅰ)先行意匠調査の調査範囲は、その出願の意匠に係る物品の属する「意匠分類表」の小分類(意匠法施行規則別表第一の物品の区分の欄のレベル)の範囲です。

 ⅱ)調査年の範囲は、出願の日の前15年です。


③調査結果の添付

 ⅰ)先行意匠資料を添付します。資料の添付は、公報又は公知資料についてはそのコピーを添付します。あるいは、公報についてはその登録番号の記録のみでコピー添付の代わりとします。

 ⅱ)先行意匠資料がない場合には、その出願の意匠の背景となる一般的な意匠の水準を示す意匠資料を添付します。



≪4.自己の意匠登録出願中の意匠の記載≫

 「早期審査に関する事情説明書」の提出にあたっては、「先行意匠調査」に加えて、関連意匠の登録要件(意匠法第10条)の調査を効率的に行うため、「自己の意匠登録出願中の意匠の記載」を要請します。「自己の意匠登録出願中の意匠の記載」の欄は、次の要領で記録します。


 ⅰ)記録の範囲は、その出願の意匠に係る物品の属する「意匠分類表」の小分類(意匠法施行規則別表第一の物品の区分の欄のレベル)の範囲内において、その出願の出願日と同時に出願した自己の他の意匠登録出願(最終処分が確定していないもの)すべてとします。

 ⅱ)記録は、「意願○○○○-○○○○○○」のように意匠登録出願の番号を記録することにより行います。
なお、出願番号の通知を待っている間は、その出願の「出願日」及び「整理番号」を記録します。